戦国時代から伝わる謙信笹ずしは、笹の葉に酢飯をよそり山菜、椎茸、胡桃などの山の幸や、大根の味噌をのせた料理です。笹や酢の防腐作用で日持し、箸を使わず携帯もできるので、この地を通った上杉謙信に、野戦食として村人が献上したと伝えられています。
米の産地で有名な飯山市のお米は、もちもちして冷めても
おいしいのが特徴。昼夜の寒暖差で甘みが凝縮し、ミネラルを
多く含んだ雪解け水で育ちます。謙信笹ずしの具材はこの地で
採れるもので、大根の味噌漬は、醤油が貴重だった頃、かわり
に味噌で漬けていたものです。
海のない信州では、山の幸を使った食文化が発達しました。
謙信笹ずしもその1つで、飯山の食文化として受け継がれ、
平成12年、長野県の選択無形民俗文化に認定されました。
冠婚葬祭や晴の日のおもてなし料理や郷土食として、多くの
人々が味わっています。
飯山には謙信笹ずし以外にも様々な郷土食があります。
香と喉越しがたまらない「富倉そば」、寺の町飯山の伝統的精進料理でじゃがいもを酢で炒めた「いもなます」、海草「エゴ草」を煮とかし固めた「えご」や、「坂井芋」、「常磐ごぼう」などの伝統野菜もあります。